まだまだ寒い日が続きます。
この週末には再び寒波が来襲して大雪の懸念もあるようです。
日本列島に雪が降るメカニズムはご存知の方も多いと思いますが、大雪をもたらす場所に大きく関係する現象をご存知の方は少ないのではないか?と思います。
今回は、そんな少しマニアックな話をしてみたいと思います。
JPCZとは
冬場に大雪をもたらし、しかもその場所をある程度特定してしまうほどの影響力を持つ現象のことを
JPCZ(Japan sea Polar air mass Convergence Zone)
と言います。日本語にすると
日本海寒帯気団収束帯(にほんかいかんたいきだんしゅうそくたい)
となります。
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雪が降るメカニズム
冬場に日本(特に日本海側)に雪が降るメカニズムは
- 大陸の冷たい空気が日本に流れ込んでくる(空気の気温は上空3000mでマイナス30℃以下)
- その空気が日本海を通過する際に海面と接する部分から空気の温度が上昇する
- 2の過程で上空と地上で気温差が大きくなり上昇気流が生まれて対流が激しくなる
- 日本海側の陸地に到達し、さらに標高の高い山によって上昇気流が助長されて激しい対流が起こる
- その結果雪が大量に降る
と言う流れになります。
しかし、さらに激しい雪が降る場所が局地的に存在します。その原因を作るのがJPCZです。
JPCZは空気のぶつかる場所
このJPCZとは、冷たい空気同士がぶつかる場所なのです。
この図を見てもらえばわかりますが、風の向きを表す矢印がJPCZ付近でぶつかっていませんか?
風と風がぶつかる場所を「コンバージェンス」と言いますが、ここでちょっと想像してください。風と風が水平に流れているところで、例えばお互い正面衝突したらどうなると思いますか?
空気は行き場を失って上空へと向かいます。これによって上昇気流が生まれるのですね。
ですから、JPCZ上では上昇気流による対流が激しく発生し、積乱雲が発達して雪が降るのです。
原因は朝鮮半島の根元に
このJPCZを発生させる原因は一体何なのか?
実は、地形的な理由によるものなのです。
朝鮮半島の北東部に白頭山(はくとうさん)と言う独立峰があります。
この山が、大陸から流れてくる空気(風)を分流してしまうのです。その分流した空気が再び合流する現象がJPCZそのものなのですね。
このJPCZは、山陰の鳥取や島根、北陸の福井や新潟などを指向することが多くあり、指向した地域は大雪に見舞われますし、寒気が緩むまで大雪が続くと言うことになってしまいます。
また、寒波が強い場合ではJPCZが太平洋側にも影響を及ぼすこともままあり、最近では広島や四国、滋賀から岐阜や愛知などへ雪雲をもたらすことも多くなっています。
このように、単に西高東低の冬型だから雪が降るわけではなく、空気や地形などの様々な影響を受けて気象条件が決まっているんですね。ちょっとマニアックな話でしたが、何かのネタにでもしてくださいませ。