刑務所で服役する場合に「懲役刑」と「禁錮刑」がありますが、それを一本化して見直すことを検討しているようです。
でも、そもそも懲役刑と禁錮刑って何が違うのかってご存知でしたか?
今回は、あまり気にすることのない話題としてこの
懲役刑と禁錮刑について調べてみました。
刑罰とは
そもそも、何か犯罪を犯した場合にはどんな刑に課せられるのか?について調べてみました。
生命刑
人の生命を奪う刑罰。死刑がこれにあたります。
身体刑
人の身体に対して苦痛を与え刑罰のことで、杖刑、笞刑、入れ墨をする黥刑、身体の一部を切り落とす肉刑・宮刑などがあります。
自由刑
人の身体の自由を奪う刑罰で、追放・居住制限・拘禁(懲役や禁錮など)を内容とする刑罰をいいます。
財産刑
財産(財物・金銭)を奪う刑罰です。
名誉刑(資格制限刑)
人の名誉を奪う刑罰で、公権の停止などがこれにあたります。
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日本における刑罰(刑種)
日本においての刑罰は主刑と付加刑とに分けられ(刑法9条)、付加刑とは主刑の言渡しに付加してのみ言い渡すことができる刑罰を言います。
主刑
- 死刑:刑事施設内において絞首(刑法第11条):生命刑
- 懲役:刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる(刑法第12条):自由刑
- 禁錮:刑事施設に拘置する(刑法第13条):自由刑
- 罰金:原則一万円以上の財産刑(刑法第15条):財産刑
- 拘留:一日以上三十日未満刑事施設に拘置する(刑法第16条):自由刑
- 科料:千円以上一万円未満の財産刑(刑法第17条):財産刑
- (労役場留置):罰金・科料を完納することができない者は一定期間労役場に留置する(刑法第18条):(換刑処分)
付加刑
- 没収:一定の物件の没収(刑法第19条):財産刑
- (追徴):没収物件の全部又は一部を没収することができない場合、その価額を追徴することができる(刑法第19条の2)
主計の軽重は表記した順に上から重→軽となるそうです。ただし
- 有期禁固と有期懲役では懲役のほうが重い刑
- 無期禁固と無期懲役では禁固のほうが重い刑
となるようで、この部分は単純ではないようですね。
懲役刑と禁錮刑の違い
どちらも人の身体の自由を奪う刑罰(自由刑)ですが、一般的には
- 懲役刑の方が禁錮刑より重い罰とされる
- 懲役刑は刑務作業が義務とされているが、禁錮刑は義務ではない(希望すればできる)
と言う点が違うということになります。簡単に言えば
懲役刑は刑務所で働かなければならないが、禁錮刑は1日中部屋の中で一人に過ごす
と言うことなんだとか。なので、孤独に耐えられなくなって虫にも話しかけるようになってしまうそうですよ。なので、ほとんどの受刑者は義務でない刑務作業を希望するそうです。
一本化の意味
今回見直しをしているのは、この懲役刑と禁錮刑を一本化すること。そのきっかけになったのが犯罪の若年化であり、少年法の適用を引き下げる(現行は20歳未満)ことになった場合を見据えてのことです。
犯罪を犯した場合のほとんどは「懲役刑」になります。「禁錮刑」は政治犯などに課される場合が多く、少年法が適用されなくなった場合のいわゆる18・19歳などの若者に対して
- 刑務作業により教育や更生の時間が取れない
- それにより再犯防止につなげる機会を損ねてしまう
と言うのが理由だと言うことですね。
少年法の適用を引き下げる世論は根強いものがありますが、かと言って厳罰化だけで従来再犯のための教育を行っていた少年院との差がいきなり生じると言うのも制度として整合が取れないと言うことなのでしょうかね。
いずれにしても、見直した結果がより柔軟な対応が可能になるのであれば、それはそれで良いことなのではないでしょうか?