ただでさえ「不払い」などの抵抗にあって、なかなか風当りの厳しい
NHK受信料
ですが、ここに来てさらなる収入確保のためか
ネット同時配信でネットからも受信料
を取る方向で動き始めたそうです。
ネット同時配信が2019年に解禁
総務省がテレビと同時にネットでも番組を配信する
ネット同時配信
を2019年に解禁する方針を固めたとのニュースが報じられました。これに伴い
ネット同時配信を制限している放送法を改正し、民放にも参入を促す。ネットでNHKを見る人から受信料を取る仕組みについても議論を始める。
とのことで、ネットでNHKを見る場合も受信料を徴収する仕組みを考える(導入する)とのこと。
しかし、果たしてそんなことが可能なんでしょうか?
Sponsored Link
受信料とは
NHKの受信料は
「いつでも、どこでも、誰にでも、確かな情報や豊かな文化を分け隔てなく伝える」という目的達成のため、また特定の勢力や団体に左右されない独立性を担保するため
と言う公共放送を担うNHKの立ち位置を確保するための根幹でもあると言うのが理由だそうです。そして、その法的根拠は放送法第64条。
放送法第64条(受信契約及び受信料)
- 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、NHKの受信を目的としない受信設備又はラジオ放送若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
- 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
- 協会は、第1項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
- 協会の放送を受信し、その内容に変更を加えないで同時にその再放送をする放送は、これを協会の放送とみなして前三項の規定を適用する。
第1項がそうなのですが、要するに
NHKの放送を受信できる設備を設置した者は、NHKと受信契約をしなければならない
と言うことなのです。
元々は、ラジオ放送だけの時代に受信設備を設置するには「聴取無線電話私設許可書」という許可書が必要だったことがあり、それに基づいてNHKに聴取料を払うというしくみだった。戦後はテレビ放送が始まって1968年にラジオの受信料は廃止されたのですが、主にテレビ設備に関して地上波と衛星放送の受信料を支払う仕組みとして現在もNHKの財源となっているのです。
最近ではワンセグチューナーも設備として「受信料を払え」と高市総務相が発言して物議を醸しました。この流れそのままに、ネット同時配信によって必要とされる莫大な設備費用などを賄うことなどを睨み、ネットでNHKを視聴する者からも受信料を徴収する仕組みを議論するようです。
少なくとも、ネットから受信料を徴収するとなれば、放送法を改正する必要がありますが、そもそも論として
ネットは通信であって放送ではない
と言うことで、これを現状の放送法と同じ理屈で受信料を徴収することは難しいのではないでしょうか?ネット上でも多くの意見や反対論が叫ばれているように、そのような解釈になると
ネットにつながる設備=ネットができる人
となり、少々乱暴になりますがスマホなどの端末を含めてかなりの人が受信契約の対象になってしまいます。海外の人も見ることができるので、その人たちからも受信料を取るのか?と言いたくなります。
ネット受信料の実現性
そんなことを考えると、ネット配信の場合は他のネットコンテンツを同様に
有料コンテンツ
として都度、コンテンツに対して対価を払うような形にするか、1か月とか一定の期間コンテンツが見られる
会員制
のような形で対応するしかないのではないか?と思います。
そもそも、独立性を担保するための受信料のはずなのに、独立性が保たれていない気もする昨今のNHK。偏った番組編成や番組内容に対する批判も多く聞かれましたし、財源の使い道に関しても様々な指摘があります。
そんな状況下で受信料ゴリ押しを進め、さらにネットでも受信料を取る・・・なんてことはあり得ないし支持されないでしょう。そんなに契約して欲しいのならば
お金払ってでも見たいコンテンツ
を作るべきです。話はそこからではないでしょうか?
誰も見たくない番組や、見ない番組に「設備があるだけ」と言う理由でお金を払いたくはありません。時代は21世紀なのです。昔々の制度にしがみつかず、もっと現実的な仕組みをこの際検討してもらいたいと思うのですが、果たしてそうなりますかどうか・・・。