ニュースで伝えられているように「電気柵」により感電し、男性2人が死亡した他3人が重軽傷を負った事故の調査が進んでいるようです。
そもそも電気柵による感電で人が死ぬことはないはずなので、メーカーや専門家も疑問に思っていたそうですが原因と考えられることが明らかになってきました。
感電について
今回の事故は、近くの川で水遊びをしていた家族が感電して死亡してしまったと言う”不可解”なものでした。報道によると、川辺に植えられているアジサイを守るために設置されていた電気柵に触れたか、電気柵の電線が切れて川に接触していたと言うことなのですが、それであっても死亡に至ると言うのは考えにくいと言うことなのですね。
電気柵とは
そもそも電気柵と言うのは何なのか?
農作物を害獣から保護するために農地の周囲に設置するための柵のことですが、この柵に電流を流して接触した害獣を撃退する目的のものです。メーカーも幾つかありますが、電源は12Vなどのバッテリーを用いて昇圧(電圧を高い電圧に変換)し、一定間隔のパルス電流で電気ショックを与えるのが目的であり、過大な電流は流れないようになっているようです。そりゃそうですよね。電気柵に触れて人が死ぬなら、動物も死んでしまうでしょうから、電気柵の周囲には動物の死体だらけ・・・と言うことになってしまいますから。
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危険なのは電流
今回の事故では、いわゆる電気柵の専用設備を使っていたのではなくて、家庭用電源などで用いる100V電源をそのまま接続して流していたと言う話です。また、表示しなければならない危険を示す札や、漏電ブレーカーなども設置されていなかったようです。
100vと言う電圧に注目されているようですが、電気の世界で危険なのは電圧ではなく電流です。
水で例えればわかりやすいと思いますが、電圧とは水に直せば水圧です。ホースで水を流す時の水流の強さにあたります。
一方、電流は水で言えば流れる水の量になります。ここでたとえ話です。
散水用のホースで顔に水をかけ続けてもせいぜい顔の一部に水がかかる程度で息も出来るし、それだけで窒息や溺れると言うことはないでしょう。しかし、顔を覆い隠す程の水を浴び続けたらどうなるでしょうか?多分、そのまま溺れて溺死してしまうでしょう。
電気も同じで、圧力が問題なのではなく流れる電流が問題になります。電流が致死量だった場合は12Vも100Vも関係ありません。
ちなみに、電子ライターの着火用火花の電圧は数千Vから1万Vくらいだそうです。また、冬場の静電気は1万Vくらいと言われています。電圧は高く、触れると痛いですが死ぬことはありませんよね?流れる電流が小さいからです。
致死電流
今回のように人が死にいたるには相当の電流が流れたと思われます。
一般的に100mAで人は死ぬと言われていますし、10mAで自力では触れた電線から手を離せない状況になってしまいます。
仮に、100Vを直接接続していて、水遊びをしていた人(おそらく手などは濡れていたと思われます)が触れた場合は
電流=電圧/抵抗
の公式に当てはめ、人体抵抗を仮に1KΩとした場合(実際にはもっと小さいと思います)
100V/1KΩ=0.1A
となり、致死量である100mAが流れたことになります。しかも、漏電ブレーカーなどの電流遮断器もなかったのですから連続的に電流が流れ続けたので、実際のダメージはこれ以上になります。
電気は電圧に目が行きがちですが、危険なのは電流なのです。
普段も注意を
自宅内においても、濡れた手でコンセントを触るなどの行為は同じ結果を招く危険性があります。普段の生活においても、電気の取り扱いには注意をしていただきたいと思います。
事故の状況については、今後も調査されて詳細が明らかになることでしょう。
電気柵に注目が集まっていますが、安全に電気を使う知識を知っていただければと思います。
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