昨年から航空機事故が目立っている気がしますが、3月24日にはドイツの格安航空会社「ジャーマンウイングス」のエアバスA320型機がフランス南部のアルプス山中で墜落する事故が発生しました。
8分間で高度1万メートル近くを急降下したと言われ、パイロットの意識がなかったのではないか?との見方も広がっています。
エアバス社とボーイング社の違い
航空機事故が発生するたびに機体の安全性が語られます。
今回は格安航空会社であったため、特に「安全管理」について注目が集まっています。
また、不可解な飛行による墜落(山岳地帯に衝突したと見られています)事故ですから、回収されたフライトレコーダーなどの解析が待たれます。
ところで、同じ航空機を作っているエアバス社とボーイング社ですが、その設計思想は大きく異なることをご存知でしょうか?
中華航空機事故により発覚
実際に飛行機を操縦しているパイロットで両社の航空機を操縦したことがあるならば気付くかもしれませんが、私たち一般の人間には関係のない話として伝わっていない違いが1994年の名古屋空港での中華航空機着陸失敗事故で明るみになりました。
この事故は、台湾国際空港発の中華航空140便(エアバス社製A300-600R型機)が着陸に失敗し、乗客・乗員計264人が犠牲となった痛ましい事故でした。この時もエアバス社の航空機でした。
事故原因は、自動操縦とパイロットの操作による対立でした。着陸浸入を自動操縦で行っていたパイロットは最終的に手動操縦に移行したのですが、実際には自動操縦が働いたままの状態になっていました。
その状態でパイロットが着陸するために機首下げ(降下操作)を実施したところその操作を打ち消す様に自動操縦が働き、最終的には過大な機首上げ状態となって機体は失速し後方から落下してしまったのです。
エアバス社の設計思想
そもそも、エアバス社の航空機設計思想とはどんなものなのでしょうか?
極端な言い方をすれば
「エアバスは機械を信頼し人間を信用しない設計思想」
と言うことです。
中華航空機事故の際にも、操縦していたパイロットは自動操縦中でも人為的な操作が加われば自動的に手動操作に切り替えられると考えていた様です。それは、ボーイング社などはそのような設計になっているからです。
しかし、エアバス社の設計思想によれば
「人は間違った操作をするものだから、それを補うために機械を優先させる」
と言う作りになっており、自動操縦を解除するにも特定の操作を行わなければならないと言うものでした。
(A320以降は、操縦桿を操作すると解除されるように変更されているそうです)
特に、パイロットが失速状態を作り出すような操作を行った場合、危険操作と判断されて操作自体を受け入れないと言う徹底ぶりです。
また、操縦席の計器類や操作ボタン・スイッチなどの配置や操作方法も
「人は間違う」
ことを前提に作られていると言えます。
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ボーイング社の設計思想
一方のボーイング社はどうでしょう?
ボーイング社の設計思想は、これも極端な言い方をすると
「ボーイングは人間を信頼するが、間違った場合はそれを人間に教える」
と言うことでしょう。
元々自動操縦は簡易な飛行操作を自動化するために作られた装置ですし、その状態から人が操作すると言うことは
「操作しなければならない状況が発生した」
と解釈して即座に操縦を人間に明け渡すと言うものです。
また、人の操作によって危険な状態ひ近づいた場合は警報音や操縦桿(操縦輪)などに振動を与えて危険を知らせる機能を備えています。
つまり、最後は機械ではなく人間が航空機を操縦すると言う人間重視思想なのです。
エアバス社の事故が多い気がするが
今回の事故に関しては事故原因が究明されて行くと思いますが、今までの事故で「エアバス」と言う名前を多く聞いた気がするのは気のせいでしょうか?
どちらの設計思想が良いとか悪いとかの問題ではないと思いますが、やはり操縦するのは人間であって最後は人間が航空機を飛ばすのです。そのため、航空会社でも軍隊でもパイロットは不測の事態に備えて厳しい訓練を行っているのです。
ただ、私個人の感覚からすればエアバス社の設計思想は人間に合わないのではないか?と思えてなりません。
全てを機械によって安全運行が出来るまでに技術が確立しているのならば、むしろ機械に任せた方が安全なのかもしれませんが現状はそうではありません。
ならば、パイロットの意思を尊重するボーイングの思想が人間に合っているのではないか?と思ってしまうのです。
航空関連の書籍に
「将来コックピットにはパイロット一人と犬が乗るだろう。パイロットは機械が正常に作動しているのを監視するために乗り、犬はパイロットが機械に触ろうとしたら噛みつくために乗るのだ」
と言う冗談のような話が載っていました。究極の自動化を揶揄した話と理解していますが・・・。
今回の事故が「急減圧」による意識喪失であれば自動操縦云々は関係ないのかもしれませんが、もしも設計思想による要因が関連していたとすれば、改善の余地は大いにあるのではないか?と思います。
コメント
[…] です。 そのため、航空会社でも軍隊でもパイロットは不測の事態に備えて厳しい訓練を行っているのです。 [紹介元] エアバスとボーイングの違う設計思想とは? | 雑多な戯言・・・ […]
by エアバスとボーイングの違う設計思想とは? | 雑多な戯言・・・ | 最新ニュース 2015年8月16日 12:27 PM