「遠山の金さん」や「仁義なき戦い」で人気を博した俳優の松方弘樹さんがお亡くなりになりました。
また一人、昭和の大スターが逝ってしまいました。
松方弘樹
松方弘樹さんと言えば「時代劇」や「任侠映画」と言うイメージですが、それ以上に知られているのが
釣り師
としてではないでしょうか?
プロフィール
- 本名:目黒 浩樹(めぐろ こうじゅ)
- 生年月日:1942年7月23日
- 没年月日:2017年1月21日(満74歳没)
- 血液型:A型
- 職業:俳優・映画監督・映画プロデューサー
- ジャンル:映画・オリジナルビデオ・テレビドラマ
- 活動期間:1960年 – 2016年
- 出演作など:1965年:『人形佐七捕物帳』1973年:『仁義なき戦い』
1974年:『勝海舟』
1975年:『徳川三国志』
1976年:『沖縄やくざ戦争』
1979年:『真田幸村の謀略』
1990年:『HOTEL』
2009年:『天地人』
映画やドラマで活躍されただけでなく、やはり松方さんの意外な一面を紹介したと言う点では
天才たけしの元気が出るテレビ
は外せないでしょう。
この番組に出演したことで、ちょっと強面のイメージだった松方さんが、実は笑い上戸で冗談が好きな親しみやすい方だったと言うことが世間に知れ渡りました。
その人懐っこい性格とのギャップによって、お茶の間の人気は凄かったです。番組の企画もあって、釣り好きであることも知られるようになりました。
腕はプロ級でしたし、釣りあげる魚も大物狙いの松方さんは、釣りファンの間では羨望の人だったのではないでしょうか?
脳リンパ腫とは
松方さんが亡くなった原因になったのが脳リンパ腫ですが、正確には
中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma; PCNSL)
と呼ばれます。中枢神経系(脳、脊髄、眼球)に発生する悪性リンパ腫で、リンパ節から発生した悪性リンパ腫とは異なります。
眼球や脊髄など中枢神経系に発生しますが、多くの場合は大脳の前頭葉や側頭葉、基底核、脳室周囲、脳梁に発生します。
リンパ球にはB細胞とT細胞がありますが、脳悪性リンパ腫の90%がびまん性大細胞B細胞リンパ腫と呼ばれるB細胞が腫瘍化したもので、他10%程度がバーキットリンパ腫やT細胞リンパ腫です。脳悪性リンパ腫の発生頻度は10万人に0.38人と他の脳腫瘍に比べると少ないです。
主な症状
- 精神症状(40%)
- 頭痛・悪心・嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状(33%)
- 痙攣発作(14%)
- 眼症状(4%)
などがあります。
診断
a. 画像診断:
脳の造影剤を用いたMRI検査で特徴的な所見が認められることがありますが、どんな形にもなりうる腫瘍としても有名です。核医学検査(RI検査)ではIMP(イノシン酸)という物質に放射性物質を結合させた123I-IMPを注射すると悪性リンパ腫に結合します。通常の脳腫瘍には結合しないので、この検査で結合が見られる場合、脳悪性リンパ腫である確率はかなり高くなります。
b. 脳腫瘍生検術:
生検術とは腫瘍の一部を開頭手術や生検針で採取する方法です。この組織を病理検査や遺伝子検査することで診断をつけます。
できるだけ患者さんの負担が少ないように、頭蓋骨に小さな穴を開け(穿頭術)そこから組織採取用の針をニューロナビゲーションという装置を用いて正確に腫瘍の狙いをつけた場所に進め腫瘍組織を採取してきます。この時腫瘍が小さな場合や腫瘍組織が均一でない場合は狙った組織が採取できない場合もあります。これを防ぐために当院では蛍光診断(光線診断:PhotoDiagnosis)という方法を併用して正確な腫瘍組織をおこなっています。
治療
a.化学療法(抗癌剤)
悪性リンパ腫は化学療法剤がよく効くことが多いため手術で全摘出することは一般的ではありません。(腫瘍が大きく頭蓋内圧亢進症状がある場合や正常脳組織への圧迫が強くより早期の症状改善が必要な場合は腫瘍をなるべく多く摘出することもあります。)
これまで様々な化学療法剤が用いられてきましたが、現在はメソトレキセートを中心とした化学療法プロトコールをおこなっています。b.放射線療法
化学療法に引き続き放射線治療をおこなうことで治癒率の向上を図っています。
これらの治療はリンパ腫の専門家である血液内科の協力を得て進められます。
生存率
脳リンパ腫は非常に珍しいがんのため、正確な数値は公表されていませんが、
- 放射線療法単独の場合で15ヶ月
- 「メトトレキサート」の大量投与と放射線療法の併用では約40ヶ月(3年~4年)
- 「R-MPV療法」だと6.6年
という数値が発表されています。
参考:がんのきほん
松方さんの場合は、昨年の2月頃に発覚し、3月から本格治療となったわけですが、抗がん剤のみの治療であったために1年足らずの時間が余命となってしまいました。
独特の笑い方や笑い声が印象的な松方弘樹さん。本当にお疲れ様でした。ご冥福をお祈りいたします。