熊本地震から1週間が経過しました。未だに地震活動は衰えることなく警戒が必要な状況と言われます。
そして、災害が発生した場合に現地で救助活動などを行うのが自衛隊の方々です。これについては、いろいろ言う方もいるのですが、今回はあえて
「災害派遣はなぜ自衛隊なのか?他の組織ではダメなのか?」
について考えてみたいと思います。
災害派遣で自衛隊
自衛隊が派遣されることを「災害派遣」と言います。これは今まで幾度となく聞いた言葉なので、みなさん重々承知のことと思います。災害派遣をもう少し詳しく調べると
災害派遣(さいがいはけん)とは、地震や水害等の大規模な天変地異や、大量の死傷者の発生が伴う大規模な事故などといった各種災害の発生に際して、救助活動や予防活動などの対応限界を超えた地域に陸海空の自衛隊部隊を派遣し、その組織を以て救援活動を行うことである。「災派」と略称されることもある。
とされています。もちろん災害派遣自体は想定された活動として自衛隊法第83条に定められた自衛隊の行動となっています。
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自衛隊の役割
そもそも、自衛隊と言う組織の役割とは何か?について知っておかなければなりません。
自衛隊の役割は「国防」です。すなわち、さまざまな要因によって日本の国土(領土)や国民の生命、財産を守ることが主たる任務となっています。そう言った観点では
自衛隊=軍隊
であり、左の人たちが指摘する「憲法違反」の理由となっています。
しかし、任務はそれにとどまらず、国防の「防衛出動」以外にも今回テーマとして挙げている「災害派遣」や「治安出動」など、基本として国民の生命や財産を守ると言うことに通じる活動を担っていると言えます。
自衛隊が派遣される理由
災害派遣においてはいろいろな方々が
「災害時の救助活動を専門にした組織を作って対応したら良い」
と言うことを耳にします。しかし、それはそれで難しい面も大いにあると思います。
自衛隊が災害時に派遣される最大の理由は
徹底された自己完結できる組織である
と言うことに他なりません。
自己完結と言うのは、あらゆることを自分たちの組織だけで賄いながら活動出来る組織のことを言います。
「軍隊だから当たり前だ」
と思われるかもしれませんが、そこが一番大事なところです。
自衛隊は被災した場所に行くための
- 航空機
- 艦船
- 陸上移動車両
- 各種特殊車両
を自前で持っています。それらで全て事足りるかどうかは別としても、出動する時点でそれらを調達する必要がない訳です。つまり
「今すぐに行け!」
と言われれば行けるだけの装備があると言うことです。
次に、当然ながらそれらを運用する人員が確保されており、運用するための訓練も受けています。それは、いざ戦闘となった場合などを想定してあらゆる事態に対応できるように作られた組織だからです。
また、自衛隊は衣食住すべてを自力で賄います。宿泊先も弁当もトイレも風呂も、体調が悪くなれば医者や看護師も全て自前で持っています。被災地に派遣されたとしても、現地の物品を一切使うことなく、自力で救助活動を行いながら自力で衣食住を確保することが出来る唯一の組織が自衛隊なのです。
専門の組織で対応するには?
これらの活動を専門に行う組織を作る場合は、少なくとも今の自衛隊と同じだけの装備や人員が必要になります。
「現存する組織で協力しながら当たれば良いのではないか?」
と言われるかもしれませんが、違う組織間での連携は非常時において相当の事前打ち合わせや訓練がない限り、上手く行かないことが多いと言われます。そんなことをしているうちに時間だけが経過し、救える命も救えなくなる恐れがあります。それゆえ、自衛隊の様な組織が対応するのが一番だと思うのですがいかがでしょうか?
そして、自衛隊でなければならない最大の理由があります。それは自衛隊の方々の「服務の宣誓」に書かれています。
私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身 をきたえ、技能をみがき、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、も つて国民の負託にこたえることを誓います。
この宣誓文の中に
事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め
とあります。これは要するに
自分の身を以てしても責務を完遂する
ことを言っています。このような文言は他組織の宣誓文には絶対にありません。
自衛隊の方々は、この宣誓に従って危険な場所や状況であっても、私たちの命を守るために頑張ってくれるのです。
被災地へボランティアに行って「宿泊先がない」とか「食べ物がない」と言ってヒンシュクを買った話がありましたし、熊本の話でも東京の報道機関の車がガソリン給油の列に割り込みしたとか、ホテルを予約しながら来ないと言うことが聞えています。
自力自己完結が出来ないと、その様なことになってしまうのです。だからこそ「自衛隊」でなければならないのではないでしょうか?
いろんな考えがあるのは分かりますが、阪神淡路の時も、新潟中越の時も、東日本大震災の時も、今回の熊本も、自衛隊の方々が自らの危険を顧みず頑張ってくれていることに感謝し、頑張ってもらいたいと思い書かせていただきました。
自衛隊のみなさん、いつもありがとうございます。そして、大変ですが頑張って下さい!!
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コメント
自衛隊=軍隊 では、ありません。
軍隊は、通常「軍法会議」があり、「憲兵隊」等が軍人が軍規(軍人の規則)を守っているかを判断し、守っていない場合は軍人が裁くようになっていますが、自衛隊にはこれがありません。
このため、戦闘を行う場合でも「正当防衛」や「緊急避難」の場合しか戦闘力を発揮できません。
また、身分が軍人でなく「特別職国家公務員」です。
このため、万が一、外国で外国軍隊に捕まった場合、通常の軍人に認められる「捕虜」となることができず、「スパイ」として殺されても文句が言えません。
by アリおやじ 2016年4月25日 9:23 PM
アリおやじさん、コメントありがとうございます。
細かい部分では軍隊の体をなしていないと思いますが、あえて「軍隊」と表現させていただきました。
ご指摘ありがとうございます!
by pikaichi716 2016年4月25日 9:50 PM